「探偵事務所」と「興信所」、名称の違いはありますが、どちらも行動調査を実施しています。
同じ調査をやっているのに、なぜ名称が違うのか?
実は、探偵事務所と興信所の成り立ちが関係しています。
ここでは、探偵事務所と興信所の違いについて解説していきます。依頼を考えているけど、どっちを選べばよいか困っている・・・という方は参考にしてください。
探偵事務所と興信所の違い
結論から言うと現在は、両者に根本的な違いはありません。
それは、つぎのようなことから分かります。
どちらも同じ「探偵業」
最近では探偵も雇用調査をおこないますし、興信所も浮気調査をおこないます。もとを正せば、どちらも調べることが仕事であって、大きな違いはありません。
探偵業法でも探偵事務所・興信所の両者を「探偵業」と定義しています。
明確な決まりはない
日本において法律で「このような業務をしていれば興信所、これは探偵」というように定めている基準などはありません。つまり自由に名乗れるのです。なかには「探偵興信所」と名乗るところもあります。
ただし、得意とする調査内容に違いがあるようです。
探偵事務所と興信所が得意とする調査
探偵事務所
探偵といえば本来、社会関係調査をメインにおこなう業種でした。これはおもに個人を対象とした調査で、たとえば以下のようなものが挙げられます。
- 浮気調査
ターゲットの浮気有無、証拠収集の調査
- 結婚調査
婚約者や交際相手の身辺調査
- 犯罪調査
企業や店舗における事件の犯人割り出しや従業員の素行調査
- 行方調査
所在調査や失踪・家出人調査など人探し
興信所
その点で興信所は、経済関係調査をメインにおこなう業種です。こちらはおもに、法人向けの調査になります。たとえば以下のようなものです。
- 個人信用調査
ターゲットの信用性や風評、取引状況など身元調査
- 雇用調査
法人が新規雇用を検討する人物にトラブルや問題がないかの調査
- 企業信用調査
取引先の企業における資産や経営情報などの調査
- 市場調査
参入したい市場の現状、ライバルの調査など競合調査
なぜこのような違いが生まれたのか。それは探偵事務所と興信所が設立された経緯の違いにあります。
探偵事務所と興信所の設立経緯
探偵事務所
世界初の探偵は19世紀中期にパリ警視庁を興したフランソワ・ヴィドックといわれます。日本国内では1889年(明治22年)、日本橋の士族であった光永百太が探偵社を設立しました。
その後、1895(明治28)年には元警視庁の刑事である岩井三郎が、日本最古の探偵事務所「岩井三郎事務所」を設立。岩井は刑事時代の捜査と同様に聞き込みや尾行、張り込みなどの手法を用い、スパイや詐欺などさまざまな事件解決に寄与しました。
このため、探偵は刑事のように自分の足で出かけて調べる、という手法がベースになっています。
興信所
1892(明治25)年、日銀と大手銀行団が共同出資し、大阪に日本初の興信所「商業興信所」を設立したのがはじまりです。これは時代が明治に移って商工業が栄え、信用調査の需要が増えたため。
この信用調査とは「企業信用調査」を指し、取引先の企業に問題がないか調べるもの。新規の取引先に関する情報や資産、経営情報のほか、既存の取引先にも問題がないかなどを確認することができます。
このため、興信所はデータや直接面談などを用いた調査手法がベースでした。
浮気調査ではどちらを選べばよい?
前述のように、探偵と興信所に大きな違いはなくなっています。業務内容もほぼ同じです。
そのため、「浮気調査はどっちに依頼すればいい?」「信用調査ならどっちが得意?」などありません。どちらでもOKです。
そのため、なんらかの調査依頼をしたいというとき「興信所」「探偵」などのくくりに縛られることはありません。どちらでもいいので、サービス内容に納得できるところに相談すればよいでしょう。
まとめ
解説したとおり、いまでは探偵も興信所も大して違いはありません。そのため「この調査はどちらに依頼すればいい?」とか、「どちらが安い?」などと迷う必要はないといえるでしょう。
ただし、探偵・興信所は公安委員会から認可を受けて探偵業届出証明番号を掲出することが義務づけられています。この認可がない業者は法律違反のため、トラブルになる可能性もあります。
このような部分をよく確認し、何件か無料相談などを受けて比較することをオススメします。