夫婦における夜の営みは性欲の解消のみならず、コミュニケーションという側面も持ちます。しかし、近年はセックスレスの夫婦も増加傾向にあるといわれます。
そんななか、浮気や不倫の原因にもよく挙げられるのが、セックスレスです。では、どのような状態をそう呼ぶのでしょうか。定義や理由、離婚事由として認められるかなど、ご紹介します。
セックスレスが浮気に発展する原因
セックスレスから至る浮気は、さまざまな原因が付随することがあります。たとえば、どのようなことが考えられるかを紹介していきます。
性欲を解消したい
単純に家庭で満たされない性欲を解消するため、浮気をするパターンです。この場合、体目的だけでの浮気となることが多いでしょう。しかし、場合によってはそこから本気になってしまうこともあります。
珍しいケースだと、パートナーとセックスすることがイヤな奥さん(旦那さん)が「外で浮気してきてもいいよ」と言う場合もあるのだとか。
さみしさを埋めたい
セックスレスになったことで、コミュニケーションの頻度自体が減ってしまう夫婦・カップルもいます。それによって「もっと構ってもらいたい」とさみしさを感じ、浮気してしまうこともあるでしょう。
たとえば「育児に追われて疲れきった奥さんと、構ってもらえない旦那さん」。「仕事が忙しく家庭にまで気を配る余裕のない旦那さんと、構ってもらえない奥さん」。このような夫婦で起こりやすいです。
新鮮な恋愛を楽しみたい
夫婦・カップルとしてマンネリ状態になってしまい、「自分を男(女)として見てほしい」という欲望が沸いたり、恋のドキドキ・新鮮味がほしくなったりする人もいるでしょう。
長く一緒にいることで、パートナーが男性として立ててくれなくなる、女性としての努力を褒めてくれなくなった、などの不満が募り、それを解消してくれる相手に恋心を抱いてしまう可能性があります。
スリルがほしい
上記と同様に夫婦・カップルとしてマンネリになっているなか、気の合う相手と出会って「禁断の恋」に落ち、そのスリルにハマってしまう人もいます。
これまで一度も浮気したことのない人でも、そのスリルが麻薬のように中毒となって、普通の恋愛ができなくなってしまうこともあるようです。
浮気からセックスレスに
反対に「浮気からセックスレス」になることもあります。浮気相手としている分、疲れてする気にならないパターンと、浮気相手を本気で愛してしまい、その人以外としたくないというパターンがあります。
セックスレスによる浮気の対処方法
セックスレスが原因での浮気を対処するには、つぎのいずれかを選ぶことになるでしょう。お互いどうしたいか、よく話し合ってください。
問題解決の努力をする
パートナーが浮気をした原因を聞き、その解決を図るのが最善でしょう。もちろん、浮気は悪いことです。しかし、場合によってはお互いに悪い部分があることもあります。
たとえば「最近構ってくれなかった」ということなら、もっと交流する時間を増やす。「性欲を解消したかった」なら、セックスレス解消の努力をするなど、どうすればよいかを一緒に考えましょう。
浮気を許容する
どうしてもセックスレスの解消が難しく、かといって離婚はしたくない。そのような場合は、風俗や浮気を許容するという選択もあるのかもしれません。
離婚・別れる
セックスレスの解消が困難なうえ、ふたりの関係も冷え切っているのであれば、離婚という選択に至ってしまうこともあるかもしれません。その場合、次項を参考にしてください。
セックスレスは離婚事由?慰謝料はもらえる?
長い間セックスレスで、浮気の発覚が決定打となって離婚を決意するご家庭もあるかもしれません。では、セックスレスで浮気すると、法律上どう判断されるのでしょうか。
セックスレスは離婚事由となる?
民法第770条によれば、以下の場合に限って離婚の訴えを提起することができる、と定めています。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。引用:民法
このうちセックスレスは、五「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当します。しかし浮気は、一「配偶者に不貞な行為があったとき」に該当するので、発覚して裁判となれば浮気した側が不利になる可能性があるでしょう。
セックスレスや別居中の場合は?
法律上、夫婦が別居状態にあり「婚姻関係が破たんしている」と見なされる場合、破たん後の浮気は不貞行為と認められません。しかし、仕事などが理由の一時的な別居といった「婚姻関係の継続が前提の別居」は関係の破たんと見なされないでしょう。
婚姻関係が破たんしていると見なされるケース
- 夫婦で完全に別の生計
- ほとんど連絡を取り合わない
- 家庭内別居(セックスレス、配偶者に対する家事をしないなど状況による)
慰謝料の請求が可能かどうか?
- 婚姻関係が破たんしておらず浮気→不貞行為=慰謝料を請求できる
- 婚姻関係が破たんして浮気→不貞行為にならない=慰謝料を請求できない
セックスレスでの浮気の慰謝料は?
一般的には、1年以上セックスレスという夫婦の場合、性行為を拒否していた側に慰謝料を請求できるとされます。相場は100~300万円程度。レスの期間、婚姻期間が長いほど増額されることでしょう。
セックスレスを理由に浮気(不倫)した側へも、慰謝料の請求が可能です。ただ、正当な理由がなく長期間セックスレスだったなど、状況を鑑みて減額されると思われます。また、請求には浮気の決定的な証拠(ホテルへ出入りする写真など)が必要です。
セックスレスになる理由
では、なぜセックスレスになってしまうのでしょうか。男女別でどのような理由が多いのか、日本家族計画協会が行った調査「男女の生活と意識に関する調査」からご紹介します。
女性の理由
1位:面倒くさい 23.8%
2位:仕事で疲れている 17.8%
3位:出産後何となく 16.8%
4位:その他 13.0%
5位:現在妊娠中、出産後すぐだから 9.7%
男性の理由
1位:仕事で疲れている 21.3%
2位:その他 16.9%
3位:出産後何となく 15.7%
4位:現在妊娠中、出産後すぐだから 11.2%
5位:面倒くさい 10.1%
家族(肉親)のように思えるから 10.1%
夫婦のセックスレス事情
では、世の中でセックスレスの夫婦はどのくらい存在するのでしょうか。平均的なセックス頻度などとあわせて見ていきましょう。
セックスレスの動向
日本家族計画協会が2004年~2016年に「男女の生活と意識に関する調査」というアンケートを実施しました。2016年では全国16~49歳男女3000人を調査対象とし、その結果がつぎのとおりです。
このように、2016年は47.2%の夫婦がセックスレス状態という結果になりました。2004年と比較すると、2016年ではじつに15.3%増となっています。
セックスの頻度
相模ゴム工業が2013年に20~60代男女14,100名を対象に実施したアンケートでは、既婚者・交際相手がいる・セックスする相手がいる人の、1ヶ月のセックス頻度(回数)は以下のような結果になりました。
20代では男性4.4回、女性3.9回ですが、年齢を重ねるごとにセックスの回数は下がっていきます。
下記図は、それぞれの属性を分けたものです。既婚者の平均は1.7回となっており、結婚すると回数が減少する傾向にあるようです。
セックスレスの定義
セックスレスと浮気の関係をお話する前に、セックスレスの定義について解説します。
セックスレスという言葉ができたのは1991年です。あべメンタルクリニックの院長・安倍 輝夫さんが提唱しました。
そして、1994年に下記内容が正式に定義されました。
特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性校あるいはセクシャル・コンタクトが一カ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合
引用:日本性科学会
一カ月でセックスレス? と思う方もいるでしょう。この定義に照らし合わせてみると多くの夫婦がセックスレスの状態ではないでしょうか。
まとめ
セックスレスは「気づいたらなっていた」ということが多いといいます。悪気がなくても解決の努力をしないと、そのままパートナーが浮気して関係破たんということもありえるのです。
最近あまりコミュニケーションを取れていない・・・と気づいたら、解消するよう努力をしたり、会話レスにはならないようにしたり、良好な関係でいたいものですね。